横本というのは縦に比べて横が長い本のことをいいます。
横綴じの本で、横切本(よこぎりぼん)や横綴本(よことじぼん)とも呼ばれています。
横本を製本する場合には、中綴じという方法で製本することが多いのです。
一般的な中綴じは長辺を綴じる縦型ですが、横本の場合には短辺を綴じる横型でつくられます。
中綴じという方法で製本されたものはほぼ180度開くことができるというのが特徴です。
見開きで見せたいデザインの場合には中綴じで製本されるととても見やすくなります。
特に横本の場合には横長であるので、もちろん仕上がりも横長を意識したものになります。
横長の仕上がりをイメージし、さらにワイドなデザインを活かせるものにおススメです。
例えばメニューや絵本、写真集、映画のパンフレットやマンションのパンフレットなどにとても向いているのが横本です。
美濃紙を二つ折りにした大きさの美濃本や半紙本といったものをさらに横に二つ切りや三つ切りにした本の形も横本といわれています。
二つ切りのものを二つ切り本、三つ切りを三つ切り本、四つ切りを四つ切り本といいます。
美濃の二つ切り本は枕本(まくらぼん)と言われています。
役者評判記などは半紙二つ切り本、道中案内記や名所案内記といったものには三つ切り本が多くみられます。
横本は歴史ある製本なのです。
通常の中綴じ機で制作可能ですが、横本は、「汚れ」や「曲がり」が生じやすい造りになので、ちょっとした工夫が必要です。
頻繁に横長の中綴じを行っていない機械ですと、普段使用していないところが製品に触れるため、「汚れ」が付く可能性があります。
NS印刷製本では、常に横長の中綴じ製作に機械を使用し、常に保守・点検・修理を行っているため、「汚れ」がつきにくい環境にあります。
また、中綴じする部分を軸に、ぶら下げて流していきますので、横が長ければ長いほど、安定感がなくなるため、仕上がりに「歪み」「曲がり」が生じやすくなります。
機械の流れに、ちょっとした工夫や気遣いで、きれいな横本が仕上がります。
これも、「経験に裏打ちされた技術」のひとつです。